Guide Concept
教科書の点を、
土地の上でつなぐ。
構想段階の企画案
※ 本ページは検討中の企画案をまとめたものであり、現在提供中のサービスやリリース予定のアプリを紹介するものではありません。名称は未定で、「歴史音声ガイド」は内容を説明するための仮の呼び方です。また、まず東京を対象に検討していますが、自治体・公的機関との提携や監修に基づくものではありません。検討の経緯は今後の展望に日付つきで記録しています。
このテーマについて
学びのテーマでは「学び続け、いつか学びの場に返す」ことを考えてきました。その「学びの場」を母校の外にも広げられないか、という方向から出てきた企画案です。対象は学生ではなく、学校を出てからずいぶん経った大人。小学校・中学校・高校で習ったはずの歴史上の出来事を、その舞台となった土地で音声として受け取れないか——というアプリの構想です。
出発点 ── 忘れているのは、知識ではなくつながり
大人になってから歴史を学び直そうとするとき、足りないのは単語ではないと考えています。井伊直弼、桜田門外の変、江戸城の明け渡し、上野の戦い——名前だけなら、たいていの人が出てきます。抜け落ちているのは、それらがどう連なっていたのかという因果のほうです。
幕末から明治への転換は各地に舞台が散っていますが、そのうち東京(江戸)に集まっているものだけを取り出しても、教科書で別々の章として習った出来事がいくつも重なっています。ひとつの事件が起き、その延長線上で城が明け渡され、別の場所で戦いが起きて、江戸での旧幕府側の抵抗が終わる。教科書の上では章をまたいで分断されていたものが、土地の上を移動すると一本の線としてつながる可能性がある。ここに賭けてみたい、というのがこの構想の中心です。
情報を音声で読み上げること自体は目的ではありません。ばらばらに覚えた点が線になる瞬間を、地理の力で起こせないかを検討しています。
考えているアプリの姿(すべて検討中)
- スマートフォンの位置情報から現在地を取り、その周辺にゆかりのある歴史上の出来事を音声で伝える
- 扱うのは小中高の教科書に出てくる水準の出来事に絞る。専門的な解説ではなく、「聞いたことはあるが、経緯は忘れていた」という層に照準を合わせる
- 対象範囲はまず東京に限定する。範囲を絞ることで、内容を一件ずつ人の目で確かめられる規模に収める。将来的には、地域テーマで挙げているような土地も含め、地域ごとの版に広げられないかも考えている
- 目的地への経路案内は行わず、通った土地の解説だけを流す
- 画面を見ないで完結させる。運転中は操作も画面の注視も一切求めない前提とし、歩行中も周囲の安全を損なわない形を条件にする
- 語りの順序そのものに意味を持たせる。場所を並べるだけでなく、移動すると出来事の順に話が進む形を検討している
検討中の設計メモ
技術的に難しいのは音声を鳴らすことではなく、何を・いつ話すかの制御だと考えています。現時点で有力だと思っている整理を残しておきます。
- 一件を読み終えるまで割り込まない。再生が終わってから改めて現在地を取り、次に話す対象を選ぶ。この直列の作りにすれば、位置情報の常時監視も、再生中の優先度比較も要らなくなるはずで、測位の誤差にも強くなると見ている
- 移動手段で語り方が変わる。徒歩なら、読み終えたときに対象は数百メートル後方にある。自動車なら数キロ先を見ておく必要がある。前者は「歩いてきた方向に」、後者は「この先に」と、同じ仕組みでも語りの時制が変わる
- 立ち止まったら黙る。位置が動いていないのに次々と話し始めると、周辺の話題を一気に消費してしまう。一定距離を移動したことを再生の条件にする
- 点だけでなく面も扱える器にしておく。教科書に出る出来事は場所によって密度に差があり、東京のように密度の高い土地なら地点を拾うだけで足りそうだが、地域によっては地点だけでは間が空くのではないかと見ている。国・藩・街道といった広がりのあるまとまりも同じ仕組みで扱えるようにしておけば、地域を広げるときにデータを足すだけで済むはず。東京版だけを見れば要らない作りだが、後から足すのは高くつくと考えている
- 移動手段の判別は自動化を急がない。速度だけでは自動車と自転車、自動車と鉄道が重なりうると見ている。当面は利用者に選んでもらう形でよいのではないか
確認が必要なこと
構想を進める前に確かめておくべき宿題を、そのまま書き出しておきます。
- 出典となる資料の利用条件。百科事典や公的機関のデータベースを情報源にする場合、二次利用の条件(ライセンス・表示義務)の確認が要る。要約や音声化も二次的な利用にあたるという前提で調べる
- 事実の正確性をどう担保するか。教科書に出る水準の話は多くの人が知っているぶん、誤りがすぐに伝わる。原典にない年号や人名を補わない作り方と、公開前に原文と突き合わせる工程が要る
- 内容の偏り。教科書に出る出来事は場所が偏っている。何も鳴らない地域が出たときにどう扱うか
- 利用者データの取り扱い。位置情報を端末の中だけで完結させるのか、外部に送るのか。取得・保存・送信の範囲によってプライバシーポリシーの改定要否が変わるため、設計と同時に決める
- 提供形態。無償で配るのか課金するのかで、必要な表示(特定商取引法に基づく表記など)が変わる。→ 試験版(β)は無償で配る形に決めた。利用者から対価を得ないため、特定商取引法に基づく表記は不要と整理した
- 名称。まだ決めていない。「音声ガイド」のような説明的な語だけでは識別力が弱く、商標として登録できない可能性が高いと考えている(未確認)。検索で埋もれる懸念もあるため、識別のための固有の名前を別に立てる必要があると見ている。地域ごとに版を分ける可能性があるので、地名は名前の末尾に置いて着脱できる形を想定している。試作して体験を確かめてから決め、その段階で商標および既存の名称との重複を確認する
- 技術的な実現可能性。位置情報から周辺の記事を探す仕組み、音声合成の品質、端末の電力消費、通信の届かない場所での動作——いずれも小さく作って確かめる段階にある
現在地
試作を実装し、実際に移動しながら動きを確かめる段階に進みました。一件を読み終えるまで割り込まない直列の設計は実機でも成立しました。音声合成は端末内で完結し、位置情報は外部に送らない設計です(端末内の音声が確認できないときは読み上げない作りにしています)。一方で、画面を消しても案内を続ける仕組みは不具合が続いたため、いったん削り、案内中は画面を点けたまま使う最小の形に絞り直しました。案内の単位も、決められた順路(コース)ではなく「区」ごとに近くのものから語る形へ変えています。原稿はすべて出典との突き合わせ待ちの下書きです。この下書きを含む試験版(β)を、検証中であることを明示したうえで更新履歴のページから配布しています。試作に追加した地点は更新履歴に1日1件を目安で記録し、経緯は今後の展望に記録しています。
共創のご縁を探しています
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