GX Concept
排出量算定の「前工程」を、
上流工程の仕事に。
構想段階の企画案
※ 本ページは検討中の企画案をまとめたものであり、現在提供中のサービスを紹介するものではありません。検討の経緯は今後の展望に日付つきで記録しています。
このテーマについて
排出量算定のうち、ツールに数字を入れる手前の部分──どのデータが、どこにあり、誰が・いつ・どう集めるのか──を「前工程」と呼んでいます。ここを当社の専門である上流工程の仕事として引き受けられないか、という企画案をまとめたページです。背景として見ている動き、着眼点、構想の中身、そしてまだ決めていない論点までを、結論が出る前の状態で並べています。
背景 ── 算定の波は、中小企業にも届く
サステナビリティ開示の新しい基準が、2027年以降、時価総額の大きい上場企業から段階的に適用される見込みです。開示にはサプライチェーン全体の排出量(Scope3)が含まれるため、その波はやがて取引先の中小企業にも「排出量のデータを出してほしい」という形で届くと言われています。一方で、算定ツールや公的支援は充実しつつあり、「算定すること」自体のハードルは下がり始めています。
着眼点 ── それでも残る「前工程」
ツールが揃っても残る仕事があります。どのデータが、社内のどのシステムのどこにあり、誰が・いつ・どうやって集めるのか──この「前工程」の整理です。会計システムの仕訳、受発注や出荷のデータ、経費精算の記録。排出量算定の材料は、実は日々の業務システムの中にすでに存在しています。足りないのは、それらを算定に使える形で集めて流す「配管」の設計です。
仮説 ── これは要件定義・設計の仕事ではないか
データの在り処を突き止め、業務の流れを整理し、システム間の連携を設計する。これは当社が専門としてきたシステム要件定義・設計、そしてEC・受注管理・倉庫管理システムの連携設計と同じ構造の仕事に見えます。近年は外部連携の仕組み(API)を公開する業務システムが増えており、データ収集の相当部分を自動化できる余地があると考えています。この仮説を確かめるところから始めます。
構想の中身 ──「配管」を三層で考える
検討を進めるなかで、この「配管」は三つの層に分けて考えられそうだと整理しています。
- データ源 ── 会計、受発注、出荷、経費精算といった業務システム。算定の材料の多くは、新しく集めるまでもなく、ここにすでにある
- 変換 ── 勘定科目や品目を排出量の分類に対応づける「対応表」。業務とデータの両方を読める必要があり、ここがいちばんの肝だと考えている
- 出口 ── 算定ツールが受け取れる形式への変換。ツールごとに受け口が異なるため、どこまで自動化できるかは検証したい論点
この整理の上で、会計・受発注データから算定用データへの変換を自動化する「データパイプライン」の設計・構築、EC事業者向けの受注・出荷データからの輸配送排出の集計、ツール導入前の「データ棚卸し」と収集フローの設計──企業が自走できる手順の整理、といったかたちを構想しています。いずれも構想段階です。かたちになる前に、まず当社自身を実験台にします。
将来、誰のどんな課題に届きうるか(想定)
この構想が形になったとき、届けたい相手として想定しているのは次のような場面です。いずれも現時点の仮説であり、実際の課題は現場ごとに異なるはずです。
- 取引先から排出量の報告を求められ始めた中小企業 ──「何から始めればいいか」「誰がデータを集めるのか」が決まらず、手が止まっている。データの在り処と集め方を整理し、無理なく回る形で算定を始められるようにしたい
- 算定ツールを導入したものの、毎月のデータ集めが定着しない企業 ── 担当者の手作業と頑張りに依存し、更新が止まりがち。業務システムからデータが流れる仕組みに置き換え、「集める仕事」そのものを軽くしたい
- 環境への取り組みを数字で語りたいEC事業者 ── 輸配送の排出量を出したいが、日々の受注・出荷データと結びついていない。すでにあるデータから継続的に集計できる形にしたい
- これから算定に向き合う企業 ── ツール選定から入って迷子になりがち。導入の前に自社データの全体像をつかみ、自走できる手順を持てるようにしたい
課題の立て方そのものも、共創のなかで磨いていきたいと考えています。
検討中の論点 ── 決めていないことも書いておく
- 算定ツールへの自動連携がどこまで成立するか。受け口の仕様は各社各様で、当面は「取り込み形式への変換まで」が現実的な着地かもしれない
- 一人法人として、作った仕組みの保守をどう設計するか。作りきりで納品し、運用はお客様側に引き継ぐ形を基本に考えている(抱え込まない設計)
- 逆に、やらない方向で考えていること──お客様のデータを自社で預かり続ける基盤の運営や、算定作業そのものを代行する仕事。前者は一人法人が負うべきでない運用責任を生み、後者は当社の強みである「仕組みづくり」から離れるため
これから取り組むこと
まず自社の事業活動に伴う排出量の算定を、小さく試すところから始めます。自社の会計データを題材に、勘定科目と排出量の分類の対応表を作り、概算を一度出してみる──うまくいった手順もつまずいた点も、今後の展望のページに過程ごと公開していく予定です。一人法人の算定は規模こそ小さいものの、「データを集めて、整理して、仕組みにする」という課題の構造は同じはずです。その先で、縁のあるところから小さく試せる相手を探していきます。
また、この構想を体験できる実験として、仕訳CSVから排出量をざっくり概算するブラウザ完結のプロトタイプ「排出量ざっくり概算」を公開しています。データはブラウザ内でのみ処理され、サーバーには送信されません。
個人の実践からの示唆
姉妹ページ「個人の側のGX ── デコ活の実践」で記録しているとおり、代表個人の暮らしでも脱炭素の行動を試しています。そこで得た「行動が定着するのは環境のためというより、そのほうが速い・楽しいから」という実感は、本構想の設計思想にもつながります。排出削減の仕組みは、我慢を求める設計では続かない。日々の業務の中で無理なく回る──むしろ楽になる──形に落とし込めるかが、前工程の設計でも問われるはずです。
参考資料
本ページの背景としている一次情報です(いずれも外部サイト)。本ページは各機関・団体と提携し、またはその監修・確認を受けたものではありません。
- サステナビリティ基準委員会(SSBJ) ── サステナビリティ開示基準の内容と適用の動向
- 環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム ── サプライチェーン排出量(Scope1・2・3)の算定ガイドラインと排出原単位データベース
- クール・ネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター) ── 中小企業向けの排出量見える化・脱炭素経営の支援情報
共創のご縁を探しています
この構想に関心をお持ちの方、「うちも排出量の報告を求められ始めた」という企業の方、一緒に考えてみたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひお問い合わせからご連絡ください。検討段階だからこそ、現場の課題を伺いながら形にしていきたいと考えています。